「腰が痛いのに、なぜ足首を触るんですか?」 「肩が凝っているのに、手首を押されても…」
遠絡療法(えんらくりょうほう)を初めて受ける方から、こんな疑問の声がよく上がります。従来の治療では当たり前だった「痛い場所=治療する場所」という概念を覆すのが、遠絡療法の最大の特徴。痛みのある局所ではなく、”離れた場所”にアプローチすることで、根本的な改善を目指す治療法です。
相模原市内でも、慢性的な痛みに悩む方は少なくありません。整形外科でレントゲンを撮っても「異常なし」、湿布や痛み止めを処方されても一時しのぎ。そんな「治らない痛み」に対して、遠絡療法は新たな可能性を提示してくれます。
この記事では、遠絡療法の基本的な考え方と、実際の症例を通じて、どのようにして痛みが改善されていくのかをご紹介します。
遠絡療法の基本概念
「遠絡」とは何か
遠絡療法は、柯尚志(こう しょうし)医師が1992年に開発した治療法です。「遠絡」という名前は、「遠くの経絡(けいらく)」を意味しています。
東洋医学では、人間の身体には「経絡」という生体エネルギー(気血)の流れる通り道があると考えられてきました。この経絡上には「経穴(ツボ)」があり、そこを刺激することで身体の不調を整える——これが鍼灸などの東洋医学の基本です。
遠絡療法は、この東洋医学の経絡理論に、西洋医学の神経生理学や解剖学的知見を融合させた独自の治療体系。科学的な裏付けを持ちながら、東洋医学の知恵を活かした、まさにハイブリッドなアプローチなんです。
なぜ「離れた場所」にアプローチするのか
人間の身体は、すべてが繋がっています。筋肉は筋膜で繋がり、神経は全身に張り巡らされ、血管は隅々まで酸素を運んでいる。一見独立して見える部位も、実は密接に関連し合っているんです。
遠絡療法の核心概念
- 生体の流れ:身体には気血の流れ(経絡)が存在し、この流れが滞ると痛みや不調が生じる
- 体性-体性反射:身体のある部位への刺激が、離れた部位に反射的に影響を与える神経メカニズム
- 根本原因の特定:症状が出ている場所と、原因がある場所は必ずしも一致しない
例えば、慢性的な腰痛の原因が、実は昔の足首の捻挫にあるケース。捻挫が完全に治らないまま、かばうような歩き方が習慣化し、それが膝、股関節、骨盤、そして腰へと負担を連鎖させていく——。こうした「離れた場所からの影響」を見抜き、根本にアプローチするのが遠絡療法の考え方です。
遠絡療法で扱う「ライン」と「ポイント」
遠絡療法では、身体を12本の基本ラインで捉えます。これは東洋医学の経絡を参考にしながら、臨床経験に基づいて体系化されたもの。
| ライン名 | 主な対応部位 | 関連する症状例 |
|---|---|---|
| 手のライン | 肩、腕、手 | 五十肩、腱鞘炎、手のしびれ |
| 足のライン | 腰、脚、足 | 腰痛、坐骨神経痛、足底筋膜炎 |
| 頭頸部のライン | 首、頭 | 頭痛、めまい、耳鳴り |
| 体幹のライン | 背中、胸、腹 | 背部痛、内臓の不調 |
施術では、これらのライン上にある特定のポイント(圧痛点)を押圧することで、生体の流れを整えていきます。
遠絡療法の実際の施術方法
診断の流れ
遠絡療法では、施術前の診断が非常に重要です。
- 詳細な問診:いつから、どんな時に痛むか、過去の怪我や病歴
- 視診・姿勢チェック:立ち姿勢、歩行の癖、身体の歪み
- 可動域テスト:どの動きで痛みが出るか、制限があるか
- 圧痛点の探索:ライン上の圧痛点を丁寧に探していく
- ライン診断:どのラインが乱れているかを特定
相模原市内で遠絡療法を受ける場合も、この診断プロセスに30分程度かかることが一般的。急がず、丁寧に身体の状態を把握することが、的確な治療につながります。
施術のテクニック
遠絡療法の施術は、基本的に「押圧」が中心です。特定のポイントを、指や専用の器具で押していきます。
押圧の特徴
- 痛みのある局所は触らない(炎症を刺激しないため)
- 手首、足首、肘、膝などの関節周辺が主な施術ポイント
- 「痛気持ちいい」程度の圧力で、決して強く押しすぎない
- 押圧後、身体の変化(可動域の改善、痛みの軽減)を確認
鍼灸のように針を刺すわけでもなく、整体のようにバキバキと骨を鳴らすわけでもない。非侵襲的で、身体への負担が少ないのが遠絡療法の特長です。
症例紹介①:慢性腰痛が劇的改善したケース
患者プロフィール
Aさん(50代男性・相模原市在住)
- 職業:営業職(車での移動が多い)
- 主訴:5年以上続く慢性腰痛
- 既往歴:20代の頃にぎっくり腰経験あり
- これまでの治療:整形外科(湿布・痛み止め)、接骨院(マッサージ)
Aさんは相模原市内の企業で営業職として働いており、1日の大半を車での移動に費やしています。朝起きた時の腰の重さ、長時間の運転後の痛み、前かがみになると腰に走る鋭い痛み——これらの症状が日常化していました。
初診時の状態
問診と診断の結果、以下のことが判明しました。
- 立位での前屈が45度程度で制限(通常は90度近く曲がる)
- 左の足首に古い捻挫の跡があり、可動域が制限されている
- 左足をかばうため、右足に体重が偏っている
- 骨盤が右に傾き、腰椎が代償的に歪んでいる
つまり、腰痛の根本原因は「腰そのもの」ではなく、左足首の古い捻挫による歩行の歪みだったのです。
施術内容と経過
1回目(初診)
- 左足首のラインを中心に押圧
- 施術後、前屈が60度まで改善
- 「腰が軽くなった」との感想
3回目(2週間後)
- 足首の可動域がさらに改善
- 前屈が70度まで可能に
- 朝の痛みが半減
6回目(1ヶ月半後)
- 前屈が85度までスムーズに
- 長時間運転後の痛みがほぼ消失
- 「仕事が楽になった」と実感
その後 月1回のメンテナンス通院で、良好な状態を維持。5年以上悩んでいた腰痛から解放されました。
ポイント解説
このケースで重要なのは、腰を直接治療しなかったこと。もし腰だけにマッサージや電気治療をしていたら、一時的な緩和はあっても根本解決には至らなかったでしょう。
遠絡療法は「なぜその症状が出ているのか」を探る診断眼が鍵。Aさんの場合、20年以上前の足首の捻挫が、歩行パターンを変え、それが長年かけて腰痛として表面化していたわけです。
症例紹介②:原因不明の手のしびれが改善
患者プロフィール
Bさん(40代女性・相模原市南区在住)
- 職業:事務職(PC作業が中心)
- 主訴:右手の親指から中指にかけてのしびれ
- 既往歴:特になし
- これまでの治療:整形外科(手根管症候群の疑いで湿布処方)
Bさんは相模大野駅周辺の企業でデスクワークをしており、1日8時間以上PCに向かう生活。半年ほど前から右手にしびれを感じ始め、特に朝起きた時と夜に症状が強くなっていました。
初診時の状態
整形外科では「軽度の手根管症候群」と診断されましたが、湿布を貼っても改善せず。遠絡療法での診断結果は以下の通り。
- 首の前側の筋肉(斜角筋)が著しく硬直
- 肩が前に巻き込み、猫背姿勢が定着
- 鎖骨下の空間が狭くなり、神経と血管を圧迫(胸郭出口症候群の疑い)
- 実は手首ではなく、首から肩にかけての問題が原因
施術内容と経過
1〜2回目
- 腕のライン、首のラインを中心に押圧
- 姿勢改善のアドバイス
- しびれが軽減するも、まだ朝に症状あり
4回目(3週間後)
- 朝のしびれがほぼ消失
- PC作業中の違和感も軽減
- 「指が動かしやすくなった」
7回目(2ヶ月後)
- しびれが完全に消失
- 姿勢も改善され、肩こりも軽減
- 施術終了、セルフケアを継続
ポイント解説
手根管症候群と思われた症状が、実は胸郭出口症候群だったケース。手首を治療しても改善しないのは当然で、本当の原因は首と肩にありました。
Bさんには、デスクワークでの姿勢改善や、定期的な肩甲骨のストレッチも指導。遠絡療法の施術だけでなく、日常生活の見直しも含めたトータルアプローチが効果を生みました。
症例紹介③:長引く肩の痛みが解消
患者プロフィール
Cさん(60代男性・相模原市中央区在住)
- 主訴:1年以上続く右肩の痛み(五十肩の疑い)
- 症状:腕が上がらない、夜間痛で眠れない
- これまでの治療:整形外科でのリハビリ、整骨院での電気治療
Cさんは定年退職後、趣味のゴルフを楽しんでいましたが、1年ほど前から右肩が痛み始め、腕が上がらなくなりました。整形外科では「五十肩(肩関節周囲炎)」と診断され、リハビリに通うも改善せず。
初診時の状態
- 右腕の挙上が90度程度で制限(通常は180度)
- 夜間の痛みで睡眠の質が低下
- 肩関節自体の問題というより、肩甲骨周辺の筋肉の硬直が顕著
- 背中から腕にかけてのラインに強い圧痛
施術内容と経過
1〜3回目
- 背中、腕のラインを中心に押圧
- 夜間痛が徐々に軽減
- 腕の挙上が110度まで改善
5回目(1ヶ月後)
- 腕が130度まで上がるように
- 夜間痛がほぼ消失、熟睡できるようになった
- 「生活の質が戻ってきた」
10回目(3ヶ月後)
- 腕の挙上が170度まで回復
- ゴルフも再開できるレベルに
- その後は月1回のメンテナンス
ポイント解説
五十肩と診断されても、実は肩関節そのものより、周辺の筋肉や筋膜の問題であるケースは多いんです。Cさんの場合も、肩甲骨の動きを改善し、背中のラインを整えることで、肩の可動域が劇的に回復しました。
相模原で遠絡療法を受けるなら
相模原市内で遠絡療法を取り入れている施設は限られていますが、中央区や南区を中心に、根本治療を重視した整骨院があります。
JR横浜線の矢部駅エリアにある鵜野森グリーンハイツ整骨院は、遠絡療法の考え方を取り入れた施術を提供している施設の一つ。鵜野森周辺は住宅街で落ち着いた雰囲気があり、イオン相模原やニトリモール相模原からもアクセスしやすい立地です。
相模原市は橋本、相模大野、淵野辺など、エリアによって雰囲気が異なりますが、通いやすい場所を選ぶことが継続治療には重要。遠絡療法は1回で劇的に改善することもありますが、慢性化した症状ほど、複数回の施術が必要になります。
遠絡療法が適している症状・適していない症状
特に効果が期待できる症状
- 慢性的な痛み(腰痛、肩こり、膝痛など)
- 原因不明のしびれ
- 神経痛(坐骨神経痛、肋間神経痛など)
- 頭痛、めまい、耳鳴り
- スポーツ障害
- 帯状疱疹後神経痛
- 複合性局所疼痛症候群(CRPS)
適していない症状
遠絡療法は万能ではありません。以下のような場合は、医療機関での治療が優先されます。
- 骨折、脱臼などの急性外傷
- 感染症による痛み
- がんによる痛み
- 重度の椎間板ヘルニアで手術が必要なレベル
- 内臓疾患による痛み
遠絡療法を受ける前に、まず整形外科などで重大な疾患がないかを確認することは重要です。
まとめ:痛みの根本原因を探る視点
遠絡療法の本質は、「症状が出ている場所」と「原因がある場所」を区別する視点にあります。痛いところを触らずに改善する——一見不思議に思えるこのアプローチは、実は人間の身体が「全体として繋がっている」という本質を捉えた、理にかなった方法なんです。
相模原市内でも、慢性的な痛みに悩む方は多くいます。整形外科でレントゲンを撮っても「異常なし」、マッサージを受けても一時的な緩和だけ——そんな「治らない痛み」に対して、遠絡療法は新たな可能性を示してくれます。
もちろん、すべての症例が劇的に改善するわけではありません。ただ、「何をやっても良くならない」と諦める前に、一度試してみる価値はあるでしょう。痛みから解放された生活——それは決して諦める必要のない、手の届く目標なのかもしれません。